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アトピー性皮膚炎の人達はアトピーの原因をどう考えるか

尼崎医療生協病院皮膚科  玉置昭治

 淀川キリスト教病院(以下淀キリ)で1991年以降ステロイドを使いたくない患者にはステロイドを使わないで治療を行ってきた。ステロイドを止めたい患者には入院治療の場も提供してきた。そのためステロイドを使いたくない患者、ステロイドを止めたい患者が全国各地から来院されるようになった。

 2005年2月から8月までの約半年間に淀キリを受診した15歳以上のアトピー性皮膚炎の新患200名に病歴を聞くときにアトピーの原因、今までの治療、ステロイド軟膏に対する考えなどを聞き取った。

 男女比は男性108名、女性91名、性別記載漏れ1名。受診時の年齢は15歳から最高61歳であり、思春期以降の増悪時の発症年齢は11歳から56歳である。50歳を過ぎてからアトピー性皮膚炎を発症する例もあり、40歳を過ぎたアトピー性皮膚炎は無いとするのは明らかな間違いである。

図1

 淀キリを受診される患者はステロイドを使いたくないか止めたい希望の人が多い。「何故止めたいか」などの問答の流れで「アトピーの原因を何と考えているか」と質問をして答えをもらったのが図1である。中にはステロイドを止めたら治ると思い込んでいる人もいたが、よく話し合ってみるとステロイドが原因とは考えていず、ストレスや生活習慣の乱れと答えている。

 ステロイドが原因と思っている人は6名と少数であった。

図2

 今までの主な治療で示したようにステロイド軟膏を使ったことがある人は174名と大多数の人がステロイドを使用している(図2)。
図3
淀キリ受診直前の治療ではステロイド外用剤を使用している例は43%である(図3)。
図4
図5
しかし、ステロイドを初めから拒否しているのではなくステロイドだけではコントロールできなくなって、無治療や、民間療法に逃げているといえる。治療法の変遷をみると重症例の方がステロイド治療から他の治療に切り替えている割合が高い(図4,5)。

図6

 淀キリでのアトピー性皮膚炎の入院患者数を図6に示した。95年から98年までの4年間は患者数が多く、淀キリだけでは入院し切れず、近くの病院に入院をさせてもらった数を含めている。99年タクロリムス軟膏の使用開始、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎治療ガイドラインの作成でアトピー性皮膚炎は一定の落ち着きをみせ2002年には半減してしまう。しかし、2004年、2005年にはまた109名の入院がありステロイドを使いたくない患者は増えてきていると感じる。

 今回のアンケートと入院患者数の推移を見ると、アトピー性皮膚炎患者は初めからステロイドを拒否しているのではなくてガイドラインどおりステロイドを使ったがコントロール出来なくて、一時タクロリムス軟膏や民間療法に逃げていた。しかし、それでもコントロールできなくて淀キリに戻ってきたといえるかもしれない。

 私はアトピー性皮膚炎の原因はストレス、人間関係、不安と考えている。アトピー性皮膚炎の発症や増悪は体が危険信号を発しているからと理解している。マウスにストレスをかけると皮膚炎を起こしやすくなることは知られてきた。ストレスや不安で眠れなくなり生活習慣や食生活が乱れアトピーの悪化に繋がっていくと感じている。このアンケート結果は筆者のアトピーの病因論に近いといえる。

 淀キリの治療は皮膚科学会で脱ステロイド療法を初めて提唱したから、ステロイド止め、一切使用しないと思われている。「早寝、早起きをして、バランスよく食べて、やりたいことが出来て云いたいことがいえるようになると良くなる」が基本です。これが当たり前に出来るようになるとステロイドを使っていても要らなくなるし、ステロイドを使わなくても良くなると考えている。

 尼崎医療生協病院でも同じ治療方針で治療を行なっています。

 本論文の要旨は第105回日本皮膚科学会総会(2006年6月京都)で発表した。

 



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